ΔL等級について
実際には、同じ床材、同じ厚さであっても、具体的な建物における床面の広さのちがい、柱や間仕切り壁の多い少ないなどの条件によってばらつきが出るため、
尺度としてはあいまいなところがあります。
そこで2008年4月に、民間の有識者会議である「床材の床衝撃音低減性能の表現方法に関する検討委員会」が、新しい床衝撃音に対する遮音性能の尺度、
「ΔL等級(デルタ・エル・とうきゅう)」を提唱し、以後、順次こちらに切り替えていこうという動きが広がっています。
ΔL等級は、「部屋」に対する指標ではなく、「床材」に対する格付けです。
各等級ごとに、いろいろな周波数帯域の床衝撃音を最低どれくらい減衰させるかの基準が定められており、
すべての周波数帯域で基準を上回る減衰量を達成していれば、その等級(グレード)に認定されます。重量床衝撃音と軽量床衝撃音とで別々に格付けしており、
重量床衝撃音は「ΔLH等級」で1から4までの4グレード、軽量床衝撃音は「ΔLL等級」で1から5までの5グレードがあり、
双方とも、数字が大きいほど優れた遮音性能を持つことを意味します。
それぞれの等級における減衰量の下限基準は、以下の通りです。
等級 | 重量床衝撃音レベル(LH)減衰量の下限値 | |||
63Hz帯域 | 125Hz帯域 | 250Hz帯域 | 500Hz帯域 | |
ΔLH-4 | 5dB | -5dB | -8dB | -8dB |
ΔLH-3 | 0dB | -5dB | -8dB | -8dB |
ΔLH-2 | -5dB | -10dB | -10dB | -10dB |
ΔLH-1 | -10dB | -10dB | -10dB | -10dB |
等級 | 軽量床衝撃音レベル(LL)減衰量の下限値 | ||||
125Hz帯域 | 250Hz帯域 | 500Hz帯域 | 1kHz帯域 | 2kHz帯域 | |
ΔLL-5 | 15dB | 24dB | 30dB | 34dB | 36dB |
ΔLL-4 | 10dB | 19dB | 25dB | 29dB | 31dB |
ΔLL-3 | 5dB | 14dB | 20dB | 24dB | 26dB |
ΔLL-2 | 0dB | 9dB | 15dB | 19dB | 21dB |
ΔLL-1 | -5dB | 4dB | 10dB | 14dB | 16dB |
床衝撃音に対する遮音性能について見てきましたが、L値もΔL等級も、数字だけみても実際どうなのか想像するのは難しいところです。
床衝撃音については、ラグやカーペット、絨毯を敷けば簡単に改善できるのですが、
おしゃれなフローリングを維持したい場合にはシビアに考えなければなりません。やはり物件を内覧して実証してみるしかないでしょう。